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投稿者 : kishimoto 投稿日時: 2011-03-04 01:20:49 (1544 ヒット)

東京高裁 平成6年8月4日判決

争点

1、マンション内での動物の飼育を、具体的被害が発生しているか否かにかかわらず、共同の利益に反する行為として一律に禁止した管理規約の新たな規定の効力は有効か。
2、マンションの居住者の中に犬を飼育している区分所有者がいる場合に管理規約を改正して動物の飼育を禁止する規定を新設することが建物の区分所有等に関する法律第31条第1項にいう「一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼす」ものとはいえないか。
 

判決要旨

1、マンション内での動物の飼育を管理規約で一律に禁止することは、建物の区分所有等に関する法律の許容するところであり(本件マンションは動物の飼育に配慮した設計構造にはなっていない)、具体的な被害の発生する場合に限定しないからといって当該規定が当然に無効となるものではない。
2、マンションの居住者の中に犬を飼育している区分所有者がいる場合に管理規約を改正して動物の飼育を禁止する規定を新設することは、その者の犬の飼育があくまでペットとしてのものであって、自閉症の家族の治療上必要であるとか、犬が家族の生活にとって客観的に必要不可欠の存在であるなどの特段の事情がない等判示の事実関係の下では、建物の区分所有等に関する法律第31条第1項にいう「一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼす」ものとはいえない。


投稿者 : kishimoto 投稿日時: 2010-09-17 20:10:45 (1107 ヒット)

平成16年9月22日判決 福岡地裁 

マンションにおけるペット飼育に関して、売主である販売業者の説明義務違反及び不法行為責任が否定された事例。
 
(原告)分譲マンション購入者 (犬の飼い主)
(被告)不動産の売買及び仲介等を目的とする会社

(内容)原告が、被告に対し、被告が原告に対してマンションを販売する際、ペットの飼育に関して不適切な説明を行い、原告を同マンションでのペットの飼育が可能であると誤信させてその売買契約を締結させたとして、損害賠償または不当利得の返還を請求している事案である。
 

(判決)原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。


(理由)本件売買契約に関し、被告に債務不履行及び不法行為があったとは認められず、また、本件売買契約は有効に成立しており、原告による取消しも認められないから、被告は、原告に対し、損害賠償義務及び不当利得返還義務を負わない。 

(解説)
 飼育に関して明確な規約を持たない(曖昧規約)マンションにて。
一部の買い手には、「飼育可」また、他の買い手には「飼育不可」として販売していた売主に対して、「ペット可が条件」で購入したパグの飼い主が「飼育可である」「将来的に飼育を保障されている」と誤認させられた。そして、「被告がペットアレルギーの子供がいる家庭に隣家を売ったことで、大変な気遣いを必要とし、飼育が困難」と損害賠償を訴えたもの。

しかし、売主は「マンションでのペット飼育は禁止が常識。飼育可ならば<足洗い場>などの設備が設置されているものである。そもそも飼育の可否は管理組合で決めるもの」という主張。

 裁判所は このような「曖昧規約」において「現行管理組合規約等が改正されない限りペット飼育が不可能になるものではない」と原則を判断。
 「危害迷惑をかける行為に該当しない場合に限りペット飼育はは可能」とは売主は説明しており、これは「規約」の解釈を述べたのに過ぎない。よって、これに対しての説明義務違反はない。
 「重要事項説明」の中で、「管理規約」の変更は管理組合によって変更しうるものと記載があるので、売主は将来的な内容を確定的に説明する事は出来ない。したがって、制定予定の内容説明の義務を負うにとどまるとしています。
 また、原告が「犬を散歩のために室外に出す際には,できる限りエレベーターに乗らないようにしている。また、隣家にペットアレルギーを持つ子供がいるため、室内にいてもできるだけ窓を開けない、バルコニーの隣家寄り部分には洗濯物を干さない等の配慮をしている」と主張しているのに対し、「原告がアレルギーのある隣家に対しての配慮として行っていることは、ペットの飼育が可能なマンションであっても、当然に必要とされるものであるから、特段、原告のペットの飼育を困難にするものとはいえない」とも言っています。


投稿者 : kishimoto 投稿日時: 2010-09-17 19:56:24 (2037 ヒット)

平成19年6月28日判決 東京高裁

   (原審東京地裁 平成19年1月30日判決)

(争点)管理規約・使用規則における禁止項目、
「居住者に迷惑又は危害を及ぼすおそれのある動物を飼育すること(ただし、盲導犬・聴導犬・介護犬・及び室内のみで飼育できる小鳥・観賞魚を除く。)」との規定は、一般の犬猫飼育を全面禁止したものかの解釈。

(裁判所判断)「盲導犬…等を除く」との文言の通常の意味を勘案するとともに、規約や規則の解釈については、「マンションの区部所有者全員から構成される団体である管理組合の総会決議によって設定された規則であるから、その団体自治による規則としての性質に鑑み、その解釈に当たっては、管理組合においてこれまでどのような解釈が採られてていたかを尊重すべきであると考える」とし、過去の総会での議論などの経緯等を精査した上で、盲導犬等以外の犬猫は居住者に迷惑又は危害を及ぼす恐れのある動物に含まれると判断する。

 単に「曖昧規約」の規定の文言だけで「犬猫飼育禁止規約」であるとするのではなく、その規定に基づき従前にその管理組合でどのように取り扱われていたかが重要である、と裁判所が判断している点がポイント。